小規模事業者持続化補助金の申請から補助金着金までの手続きの流れとは|図解も用いてわかりやすく解説

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

小規模事業者持続化補助金の申請から補助金着金までの手続きの流れとは|図解も用いてわかりやすく解説

小規模事業者持続化補助金の申請から補助金着金まではいくつかの手続きを経る必要があります。

 

この記事では小規模事業者持続化補助金手続きの流れを、全体像から具体的な手続き方法までわかりやすく解説します。

 

申請から補助金着金までどのくらいの時間を要するのかについても解説しますので、持続化補助金の申請に悩んでいる人も参考にしてください。

 

 

小規模事業者持続化補助金とは

 

小規模事業者持続化補助金の制度概要、対象者について解説します。

 

制度概要

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模の法人や個人事業主などに対して、販路拡大や生産性向上を支援するための補助金です。

 

事業者自ら作成した経営計画に基づいて補助事業(※1)を実施し、持続的な経営に向けた取り組みに関わる経費の一部が補助されるという制度です。

 

経営計画を作成する過程で、事業の見直しや経営方針の改善も期待できます。

 

※1 補助事業とは、補助金の対象となる経費を使って実施するプロジェクトのこと。

 

申請類型と補助金額

 

令和3年度補正予算から申請類型は大きく分けて通常枠と特別枠になりました。

 

特別枠には、賃金引き上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠の4種類があります。

 

インボイス枠が第12回公募受付回から廃止されました。

 

その代わりに、「インボイス特例」の要件を満たすことで、通常枠及び特別枠との併用ができる制度が開始されました。

 

通常枠と特別枠ともに補助率は3分の2で、補助上限額は通常枠で50万円、特別枠で200万円、インボイス特例の要件を満たすと50万円が上乗せされます。

 

対象者

 

持続化補助金の申請が可能な対象者は、以下の小規模事業者に該当する法人および個人です。

 

業種によって条件が異なります。

 

業種 常時使用する従業員(※2)の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数が5人以下
宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数が20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数が20人以下

 

※2  常時使用する従業員には会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。

 

NPO法人の場合、適用される業種は「その他」となります。法人税法上の収益事業を行っていることと、認定特定非営利活動法人でないことも求められます。

 

 

小規模事業者持続化補助金の申請から補助金着金までの手続きの流れ

 

小規模事業者持続化補助金の申請から補助金着金までの手続きの流れについて詳しく解説します。

 

以下は手続きの全体像です。申請から補助金着金までは最大で12ヶ月程度かかります。

 

 小規模事業者持続化補助金手続きの流れ

 

GビズIDプライムアカウントを取得する

 

 

持続化補助金の申請は原則電子申請で行います。電子申請は「Jグランツ」という政府の補助金申請専用システムを利用します。

 

電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要になるため新規で取得します。すでに取得済みの場合は新たに取得する必要はありません。

 

持続化補助金の申請は郵送でも可能ですが、減点対象となるため電子申請を活用しましょう。

 

GビズIDプライムアカウント取得までに数週間程度要することがあるので、まず初めに取得申請しましょう。

 

GビズIDとは

 

・GビスIDとは法人、個人事業主向け共通認証システム。
・GビズIDを取得すると1つのIDとPWで複数の行政サービスにログインできる。
・今は事業者を取り巻く様々な行政サービスへの申請はJグランツを利用するケースが増えている。
・GビスID取得の申請はここから https://gbiz-id.go.jp/top/

 

GビズIDの取得方法

 

1)取得に必要なものを揃える。※3
2)PCでGビズIDプライム申請書を作成する。
3)申請書を印刷し押印する。
4)申請書と印鑑証明書を郵送する。
5)数週間程度で審査完了メールを受け取ってPW登録を完了させる。

 

※3  GビズID取得に必要なもの

・SMS受信用のスマートフォンor携帯電話

・印鑑証明書(法人)

・印鑑登録証明書(個人事業主)

・登録印(実印)

 

申請に必要な書類を準備する

 

ここからは小規模事業者持続化補助金の申請に必要な書類について解説します。

 

全事業者に必須の書類

 

以下の書類は申請類型や事業形態問わず必須です。

・小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)

・経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)

・補助事業計画書②(様式3)

・事業支援計画書(様式4)

・補助金交付申請書(様式5)

・宣誓・同意書(様式6)

 

その他、事業形態や決算年数によって必要となる書類があります。以下のサイトを参照してください。

 

応募時提出資料・様式資料

https://s23.jizokukahojokin.info/doc/s23_youshiki14.pdf

 

申請類型によって異なる必要書類

 

賃金引き上げ枠
・賃金引上げ枠申請に係る誓約書(様式7)

・直近1か月間における、労働基準法に基づく賃金台帳

・雇用契約書、労働条件通知書、就業規則等

・直近1期に税務署へ提出した税務署受付印のある、法人税申告書の別表一・別表四(赤字法人事業者のみ)

 

卒業枠
・卒業枠申請に係る誓約書(様式8)

・直近1か月間における、労働基準法に基づく労働者名簿(常時使用する従業員分のみ)

 

創業枠

・「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けたことの証明書

・現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(法人とNPO法人のみ)

・税務署受付印のある開業届(個人事業主のみ)

 

インボイス特例
・インボイス特例申請に係る宣誓・同意書(様式9)

・次のいずれかがある場合は、申請書に添付して提出

 

<インボイス登録済みの事業者>
・適格請求書発行事業者の登録通知書の写し

 

<電子申告(e-Tax)でインボイス登録申請手続中の事業者>
・登録申請データの「受信通知」を印刷したもの
※「郵送(紙)でインボイス登録申請手続中の事業者」・「インボイス登録申請がまだの事業者」は申請時の提出不要。

 

<実績報告書の提出時>
申請時に適格請求書発行事業者の登録通知書の写し、もしくは登録申請データの「受信通知」を印刷したものを提出していない事業者は、適格請求書発行事業者の登録通知書の写しを提出。

 

事業支援計画書(様式4)を入手する

 

・事業支援計画書とは商工会、商工会議所に支援を受けた証明書類のこと

・商工会や商工会議所に経営計画書(様式2)や補助事業計画書(様式3)の内容を確認してもらう

・商工会や商工会議所から経営計画書(様式2)や補助事業計画書(様式3)の助言を受けることも可能

・事業の代表者に経営計画書(様式2)や補助事業計画書(様式3)の内容について直接確認される場合がある

 

締切日までに申請する

 

申請には締切日が設けられています。

 

必要書類の準備が整ったら期日までに申請手続きを終える必要があります。

 

Jグランツで電子申請する場合

 

・取得したGビズIDを使ってJグランツにログインする

・必要事項を入力、必要書類をアップロードして申請

・締切日当日の23:59まで受付

 

郵送で申請する場合

 

・必要書類を格納したUSBやCD-ROMなどの電子媒体が必要

・締切日当日の消印まで有効

・持参や宅配便は不可

郵送での申請は減点調整されるので注意

 

採択結果が発表される

 

申請締切日から約2〜3ヶ月で採択結果が発表されます。

 

どこで発表されるか

 

・小規模事業者持続化補助金の公式HPで発表される

・Jグランツからメールでも通知される

 

どんな内容が公開されるか

 

・事業者名(屋号)

・法人番号(法人のみ)

・補助事業名(経営計画書に記載した計画名)

 

交付決定通知書を受領する

 

採択発表と同時期に交付決定がなされます。

 

その証明として、採択発表後に交付決定通知書が送られてきます。

 

交付決定通知書が届く前に開始した補助事業の経費は補助金申請できないので注意が必要です。

 

交付決定通知書が手元に届いてから補助事業を開始するようにしましょう。

 

なお、採択されたものの申請時に提出した交付申請内容に不備がある場合は差し戻しになります。

 

差し戻しはJグランツからメールで通知され、差し戻しによる修正内容は書面でも送られてきます。

 

補助事業を開始する

 

交付決定通知書を受け取ったら事業計画書の内容に従い補助事業を進めます。

 

補助事業実施期間を必ず確認しておきましょう。

 

補助事業実施期間は採択発表から7ヶ月程度です。

 

補助事業の内容を変更したい場合は、事業開始前に「変更承認申請書」を提出し許可をもらいましょう

 

実績報告の手続きをする

 

補助事業が完了したら速やかに必要書類を提出できるように、補助事業実施中に少しずつ必要書類を準備しておきましょう。

 

必要書類

 

全事業者共通の必要書類は、実績報告書、経費支出管理表、経費支出の証拠書類、です。

 

そのほかの必要書類は申請枠や適用される特例などによって異なります。公式HPの「補助事業の手引き」で確認しましょう。なお、補助事業の手引きは交付決定時に冊子でも送られてきています。

 

補助事業の手引き(第12回)

https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r4i_js_tebiki12.pdf

 

提出期限

 

補助事業完了日から起算して30日を経過した日、または最終提出期限のいずれか早い日までが実績報告の提出期限です。

 

最終締切までに提出がないと、補助金が受け取れなくなるので必ず期限内に手続きをしてください。

 

書類に不備があると交付までに時間がかかるので注意が必要です。

 

補助金確定通知書を受領する

 

実績報告書が無事に受領されると補助金確定通知書が発行されます。

 

実績報告で提出した書類は5年間の保存義務があります。必ず保管しておきましょう。

 

精算払請求の手続きをする

 

補助金確定通知書を受領したら精算払請求をJグランツ上から手続きします。

 

補助金が着金される

 

清算払請求が受理されると約1〜2ヶ月で補助金が指定口座に着金します。

 

なお、補助金が振り込まれた旨の通知はされません。

 

事業効果等状況報告

 

補助金が着金されたら終わり、となりがちな小規模事業者持続化補助金。

 

実はこれで終わりではありません。

 

事業効果等状況報告について解説します。

 

事業効果等状況報告とは

 

・補助事業者は、補助事業の終了日の翌月から1年間の補助事業がもたらした効果等について報告する義務があること

・提出する書類は「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」(交付規程・様式第 14)
・補助事業完了日から起算して1年後に提出できる
・「賃金引上げ枠」「卒業枠」の申請をした事業者については、事業効果とともに、「賃上げの状況」又
は「雇用の状況」についても併せて報告しなければならない

 

小規模事業者持続化補助金の再活用

 

事業効果等状況報告で様式14を提出していないと小規模事業者持続化補助金を再活用できません。

 

様式14を提出していない場合は過去に採択した日から60ヶ月以上経過していなければならないので、忘れずに事業効果等状況報告まで済ませしょう。

 

まとめ

 

小規模事業者持続化補助金の手続きの流れについて解説しました。改めて流れをまとめると以下の流れになります。

 

小規模事業者持続化補助金手続きの流れ

 

 

佐々木中小企業診断士事務所は、事業計画書作成のプロである中小企業診断士が補助金申請サポートを行います。

 

従業員0名から10名程度のサービス業の販路開拓や売上向上(持続化補助金)や、新規事業立ち上げ(事業再構築補助金)に強いことが特徴です。

 

後追いのない明朗会計で、スポットの経営相談も可能です。お気軽にお問い合わせください。

 

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佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士の受験に挑戦。2021年1月に合格し、2021年5月に佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発会社や人材紹介会社、小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金サポート。

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