小規模事業者持続化補助金の入金までの流れとは|対象となる経費や上限金額も解説

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

小規模事業者持続化補助金の入金までの流れとは|対象となる経費や上限金額も解説

※本記事は2024年1月18日に内容を修正しています。

 

小規模事業者持続化補助金は、申請してから入金されるまでに時間がかかるため、事業を進めていく上で経費の立て替えが必要となります。

 

この記事では、持続化補助金の申請を検討している企業担当者や個人事業主に向けて、入金までの流れや入金時期、申請時の注意点について解説します。

 

持続化補助金の申請の際は、ぜひ参考にしてください。

 

小規模事業者持続化補助金とは

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模の法人や個人事業主などに対して、販路拡大や生産性向上を支援するための補助金です。

 

事業者は自ら作成した経営計画に基づいて事業を実施し、持続的な経営に向けた取り組みに関わる経費の一部が補助されるという制度です。

経営計画を作成する過程で、事業の見直しや経営方針の改善も期待できます。

 

ここでは、持続化補助金の対象者や、対象となる事業や取り組み、経費について解説します。

 

小規模事業者持続化補助金の対象者

 

持続化補助金の申請が可能な対象者は、以下の小規模事業者に該当する法人および個人です。業種によって条件が異なります。

・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数が5人以下
・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下
・製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下

NPO法人の場合、適用される業種は「その他」となります。法人税法上の収益事業を行っていることと、認定特定非営利活動法人でないことも求められます。

 

 

対象となる事業や取り組み

 

持続化補助金は、販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援することを目的としています。

 

対象となる事例は次の通りです。

販路開拓の取り組み例
・販促用のチラシ作成、配布
・展示会や商談会への参加
・新商品開発

業務効率化の取り組み例
・店舗改装による従業員の作業導線確保
・会計システム導入による決算の効率化
・労務管理システム導入による人事・給与業務の効率化

 

対象となる経費

 

対象となる経費は次の通りです。

1.機械装置等費
補助事業に必要な機器の購入費など

2.広報費
新商品PRのための広告媒体に支払う経費など

3.ウェブサイト関連費
販路開拓を行うためのWebサイトの開発費用など
※単体での申請は不可、補助金額の4分の1が上限

4.展示会等出展費
新商品の展示会出展や商談にかかる費用など

5.旅費
販路開拓を行うための旅費など

6.新商品開発費
新商品の試作品開発等にかかる費用など

7.資料購入費
補助事業に必要な書籍等の購入費用など

8.借料
補助事業に必要な設備のリース料など

9.設備処分費
販路開拓を行うための作業スペース確保に伴う設備処分費用など

10.委託・外注費
補助事業遂行に必要な外部委託費用など

 

 

小規模事業者持続化補助金の上限額とは

 

持続化補助金の上限額は、通常枠と特別枠で異なり、特別枠はより高い上限額が設定されています。

 

通常枠への申請要件は、先述の小規模事業者であることですが、追加要件に該当すれば特別枠に申請可能です。

 

ここでは、各申請枠について解説します。

 

通常枠

 

通常枠の補助の上限額は50万円、補助率は3分の2に設定されています。

 

補助率とは、対象となる経費に対して補助される比率を意味します。

 

先述の「小規模事業者」に該当していることが、通常枠への申請条件です。

 

特別枠

 

特別枠は、通常枠よりも補助の上限額が100~200万円高く設定されています。

 

追加要件に該当すれば申請可能ですが、事業終了時点で要件を満たさないと、補助金が交付されない場合があります。

 

ここでは、各特別枠について解説します。

 

賃金引上げ枠

 

賃金引上げ枠の補助金額の上限は200万円です。

 

補助率は通常3分の2、赤字事業者の場合は4分の3となります。

 

追加要件は、事業終了時に事業場内最低賃金が、申請時の地域別最低賃金より50円以上アップしていることです。

 

すでに達成している場合は、現在支給している事業場内最低賃金より50円以上アップする必要があります。

 

卒業枠

 

卒業枠の補助金額の上限は200万円、補助率は3分の2です。

 

卒業枠は、事業規模拡大に意欲的な小規模事業者への支援を目的としています。

 

追加要件として、事業終了時に常時使用する従業員の数が、小規模事業者として定義する従業員数を超えていることが求められます。

 

後継者支援枠

 

後継者支援枠の補助金額の上限は200万円、補助率は3分の2とされています。

 

将来、事業継承予定のある事業者に対する政策支援が目的です。

 

追加要件は、申請時にアトツギ甲子園のファイナリストになった事業者であることです。

 

アトツギ甲子園とは、後継者候補が新規事業アイデアを競うイベントです。

 

創業枠

 

創業枠の補助金額の上限は200万円、補助率は3分の2に設定されています。

 

創業した事業者への支援を目的としており、過去3年以内に特定創業支援等事業の支援を受けていることが追加要件です。

 

特定創業支援等事業の支援とは、認定連携創業支援等事業者によるセミナーや相談などを指します。

 

インボイス特例

 

インボイス特例は要件を満たすことで通常枠、特別枠ともに50万円が上乗せされる特例です。

 

免税事業からインボイス発行事業者への転換支援を目的としています。

 

インボイス制度は令和5年10月1日から開始予定で、インボイス発行業者にならなかった場合は、補助金が交付されません。

 

 

小規模事業者持続化補助金が入金されるまでの流れ

 

 

持続化補助金の申請から入金までにはさまざまな手続きが必要です。

 

ここでは申請から入金までの流れを解説します。

 

採択決定

 

事業者は、申請に必要な書類等を地域の商工会・商工会議所に提出します。

 

申請内容に対して審査が行われ、評価の高いものから順に採択されます。

 

要件を満たすすべての申請が採択されるわけではありません。

 

採択者は補助金事務局のホームページで公表され、採択決定から1週間程度で事務局から交付決定通知書が送付されます。

 

事業の実施

 

交付決定通知書を受け取った後、申請した事業を計画どおりに実施します。

 

補助事業実施期限までに事業を完了させる必要があります。

 

交付決定日以降に発注し、補助事業実施期限までに支払いを終えた経費が補助の対象となります。

 

補助事業の内容を変更する場合は、計画変更の申請が必要となるので注意してください。

 

事業終了

 

自らが決めた事業完了予定日までに、取り組みと経費の支払いを完了させます。

 

事業完了予定日は、最長でも補助事業実施期限までです。

 

事業完了日から30日後、もしくは最終提出期限の早い方の日付までに、実績報告書や経費支出の証拠書類を提出します。

 

証拠書類とは、見積書、契約書、請求書などを指します。

 

補助金の請求

 

補助金事務局は、実施報告者や証拠書類の精査を行います。

 

不備がある場合は、修正や書類の追加提出が求められます。

 

提出書類の内容が適正と判断された場合、補助金額の確定通知書が送付されます。

 

事業者は補助金事務局に、精算払請求書で補助金を請求します。

 

補助金の入金

 

補助金事務局が精算払請求書を受理した後に、事業者に対して入金処理が行われます。

 

一般的に、請求してから入金までに数週間から2か月程度かかります。

 

入金完了に関する通知は行われないため、事業者は通帳等で入金を確認する必要があります。

 

補助事業完了から1年後に、事業の効果報告も必要となります。

 

 

小規模事業者持続化補助金を申請する際の注意点

 

持続化補助金の申請において、気を付けるべきポイントがいくつかあります。

 

ここでは、主な注意点について解説します。

 

補助金の入金までタイムラグがある

 

経費の支払日と補助金の入金日には、タイムラグがあります。

 

補助事業を終え、補助金を請求してから入金処理が行われるため、申請してから入金までに1年以上かかる可能性もあります。

 

経費の一部が補助されるとはいえ、経費を一時的に自己負担するための資金準備は必要となります。

 

関連書類の保存期間が定められている

 

補助事業関連の書類は、事業実施終了後から5年間の保存が義務付けられています。

 

補助金事務局などの関係機関から、書類の閲覧を求められた場合には、応じる必要があります。

 

会計検査院の実地検査を受ける可能性もあり、不備が見つかった場合は、補助金の返還などを命じられることもあります。

 

経費は銀行振込で支払う

 

経費の支払いは、原則銀行振り込み以外は認められません。

 

例外として、旅費や、1取引の額が10万円を超えない場合は、現金支払いが認められるケースがあります。

 

クレジットカードで支払う場合は、法人名の領収書、クレジット払いの控え、利用明細などが必要です。

 

 

まとめ

 

小規模事業者持続化補助金の申請から入金までの流れとともに、申請枠によって補助金の上限額が異なることや、対象となる事業者や経費、申請時の注意点について解説しました。

 

持続化補助金の申請の際は、本記事を参考に、申請枠や申請要件、対象経費の範囲などに注意しながら進めてください。

 

佐々木中小企業診断士事務所は、事業計画書作成のプロとして補助金申請のサポートを行っています。

 

持続化補助金の補助対象である、従業員0名から10名ぐらいまでのサービス業の販路開拓や売上向上に関する支援を強みとしています。

 

持続化補助金の申請の際は、ぜひお問合せください。

 

 

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佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士の受験に挑戦。2021年1月に合格し、2021年5月に佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発会社や人材紹介会社、小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金サポート。

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