最大補助額200万円の小規模事業者持続化補助金「賃金引き上げ特例」とは|申請条件や採択ポイントを解説

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

最大補助額200万円の小規模事業者持続化補助金「賃金引き上げ特例」とは|申請条件や採択ポイントを解説

※本記事は2025年3月12日に内容を修正しています。

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の販路開拓や生産性向上に資する取り組みを補助することを目的とした補助金制度です。

 

その中でも一般型通常枠の補助上限額50万円に補助額150万円が上乗せされ最大補助額200万円の「賃金引き上げ特例」は、事業場内最低賃金を50円引き上げることで活用できる補助金制度です。

 

この記事では小規模事業者持続化補助金の賃金引き上げ特例を活用したいと考えている事業者に向け、最低賃金の制度や申請方法を解説しているので、参考にしてください。

 

 

小規模事業者持続化補助金とは

 

小規模事業者持続化補助金の制度概要、対象者、申請方法について解説します。

 

小規模事業者持続化補助金の制度概要

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模の法人や個人事業主などに対して、販路拡大や生産性向上を支援するための補助金です。

 

事業者は自ら作成した経営計画に基づいて事業を実施し、持続的な経営に向けた取り組みに関わる経費の一部が補助されるという制度です。

 

経営計画を作成する過程で、事業の見直しや経営方針の改善も期待できます。

令和6年度補正予算から申請類型は一般型の通常枠と災害支援枠、創業型になりました。

 

さらに一般型通常枠には2つの特例があり、賃金引き上げ特例とインボイス特例です。インボイス特例は創業型にもあります。

 

補助率は3分の2で、補助上限額は一般型通常枠で50万円、賃金引き上げ特例で150万円上乗せ、インボイス特例で50万円が上乗せされます。

 

小規模事業者持続化補助金の対象者

 

持続化補助金の申請が可能な対象者は、以下の小規模事業者に該当する法人および個人です。業種によって条件が異なります。

 

・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数が5人以下

・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下

・製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下

 

常時使用する従業員には会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。

 

NPO法人の場合、適用される業種は「その他」となります。法人税法上の収益事業を行っていることと、認定特定非営利活動法人でないことも求められます。

 

対象となる事業や取り組み

 

持続化補助金は、販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援することを目的としています。

 

対象となる事例は次の通りです。

 

販路開拓の取り組み例

・販促用のチラシ作成、配布

・展示会や商談会への参加

・新商品開発

など

 

業務効率化の取り組み例

・店舗改装による従業員の作業導線確保

・会計システム導入による決算の効率化

・労務管理システム導入による人事・給与業務の効率化

など

 

対象となる経費

 

対象となる経費は次の通りです。

 

1.機械装置等費
補助事業に必要な機器の購入費など

 

2.広報費

新商品PRのための広告媒体に支払う経費など

 

3.ウェブサイト関連費

販路開拓を行うためのWebサイトの開発費用など

※単体での申請は不可、補助金額の4分の1が上限

 

4.展示会等出展費

新商品の展示会出展や商談にかかる費用など

 

5.旅費

販路開拓を行うための旅費など

 

6.新商品開発費

新商品の試作品開発等にかかる費用など

 

7.借料

補助事業に必要な設備のリース料など

 

8.委託外注費

補助事業遂行に必要な外部委託費用など

 

申請スケジュール

 

現在決まっている応募の締め切り日と採択発表日は以下のとおりです。

 

・第15回

応募締切:2024年3月14日(受付終了)

事業支援計画書交付の受付締切:2024年3月7日

採択発表日:2024年5月〜6月頃

 

・第16回

応募締切:2024年5月27日(受付終了)

事業支援計画書交付の受付締切:2024年5月20日

採択発表日:2024年7月〜8月頃

 

・第17回 一般型通常枠

応募締切:2025年6月13日(公募中)

事業支援計画書交付の受付締切:2025年6月3日

採択発表日:2024年8月〜9月頃

 

申請方法

 

申請方法は、商工会議所の窓口に経営計画書と補助事業計画書を提出し、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼します。提出はWEBからでも受付可能です。

 

その後、商工会議所との面談等を経て事業支援計画書(様式4)を発行してもらい、その他必要書類を揃えて電子申請します。

 

申請から約2ヶ月〜3ヶ月後に採択結果が発表され、採択されたら経営計画に従い補助事業を実施し、完了したら実績報告書を提出します。

 

補助事業に問題がないことを確認された後に補助金が支給されます。

 

 

賃金引き上げ特例とは

 

本記事のテーマである特別枠のひとつ、賃金引き上げ特例。

 

要件を満たすことで補助上限額が200万円、さらにインボイス特例の要件を満たせば50万円が上乗せされます。

 

この賃金引き上げ特例について解説します。

 

賃金引き上げ特例の概要

 

賃金引き上げ特例は事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上とした事業者を支援する制度です。

 

引き上げ時期は、交付決定以降から実績報告前となります。

 

以下のケースを例として解説します。

  • 東京都の事業者(東京都の最低賃金は1,163円)
  • 2025年6月申請(申請1ヶ月前の事業場内最低賃金は1,170円)
  • 2025年8月〜9月交付決定
  • 2026年8月実績報告

 

このケースだと、申請時点は事業場内最低賃金を1,170円のままとし、交付決定後2026年7月までに事業場内最低賃金を1,220円へ+50円引き上げる必要があります。

 

小規模事業者持続化補助金一般型通常枠賃金引き上げ特例

 

すでに地域別最低賃金より+50円以上となっている場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+50円以上とする必要があります。

 

現在支給の事業場内最低賃金とは、申請1ヶ月前の賃金を指します。

 

賃金引き上げの対象者は、正規・非正規問いません。

 

また、公募申請の際に賃金台帳が必要です。

 

これらの要件を満たすことで、補助率3分の2、補助上限額200万円の小規模事業者持続化補助金が支給されます(支給には経営計画書の作成と書面審査が必要)。

 

また、インボイス特例の要件を満たせば補助上限額が50万円上乗せされます。

 

インボイス特例とは

 

2021年9月30日から 2023年9月30日の属する課税期間で一度でも消費税の免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録(インボイス)を受けていることで、補助上限額が一律50万円上乗せされる特例のことです。

 

消費税の免税事業者が適格請求書発行事業者への転換に伴う事業環境変化に対応することに対し政策支援をすることを目的とした制度です。

 

賃金台帳に記載する項目

 

賃金台帳に記載する項目は以下のように定められています。

・役員、専従者は除く全従業員の賃金台帳が必要

・申請日より直近1ヶ月のもの

 

賃金台帳

 

・氏名

・性別

・賃金計算期間

・労働日数

・労働時間数

・時間外労働の労働時間数

・休日労働の労働時間数

・深夜労働の労働時間数

・基本給や手当等の種類とその金額

・控除項目とその金額

 

労働者名簿

 

・労働者の氏名

・生年月日

・履歴

・性別

・住所

・従事する業務の種類

・雇入れの年月日

 

賃金引き上げ特例のメリット

 

賃金の引き上げ自体は採択結果を見てから実施できます。リソースに限りがある小規模事業者にとってリスクを回避できるので安心です。

 

また、引き上げられた従業員の意欲向上につながります。従業員の意欲向上につながることで、お客様へのサービス向上や業務効率化にもつながっていき、経営の活性化になります。

 

 

事業場内最低賃金とは

 

賃金引き上げ特例の申請要件である、引き上げるべき事業場内最低賃金とは何かであることについて詳しく解説します。

 

最低賃金制度とは

 

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

 

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

 

最低賃金の算出基準は

 

最低賃金は時給換算された賃金のことを言います。

 

最低賃金は都道府県ごとに定められていて、例えば、東京都は1,163円、大阪府は1,114円、北海道は1,010円、福岡県は992円、沖縄県952円となっています(令和6年10月現在)。

 

最低賃金は毎年10月に改定されていて、過去40年で概ね上昇傾向です。

 

事業場内最低賃金とは

 

補助事業実施場所で時給換算にして最も低い労働者の賃金を指します。

 

補助金制度で用いられる事業場内最低賃金の対象となる労働者には役員は含まれません。

 

 

賃金引き上げ特例を申請する上での注意点

 

賃金引き上げ特例は補助上限額が大きく小規模事業者が販路拡大や生産性向上を図る上で心強い制度です。

 

一方で、申請する上での注意点も押さえておきたいところ。

 

ここからは注意点について解説します。

 

採択審査がある

 

小規模事業者持続化補助金は申請したら必ずしも採択されるとは限りません。

 

申請には事業計画書の作成が必要です。

 

審査の結果、不採択になる可能性もあります。

 

過去の採択率はおおよそ60%前後です。

 

よって、事業計画書は有識者の審査員が読んで説得力のある計画を立案する必要があります。

 

不採択の場合に備えて、補助金をアテにしない資金繰り計画も必要です。

 

補助金は後払いが原則

 

採択前の経費は補助対象となりません。

 

採択されて交付決定通知を受理したら補助対象経費を使うことができます。

 

そして、事業計画に沿って補助対象経費を使い、全ての納品が完了した段階で補助金を請求できます。

 

補助対象経費を使ってから補助金が入金されるまで6ヶ月以上かかることもありますので、資金繰りに注意が必要です。

 

通常枠では審査されない

 

申請後の審査では、賃金引き上げ特例の要件を満たしていないなどのミスがあった場合には、通常枠で審査されることもなく不採択となります。

 

賃金を引き上げるタイミング

 

 

採択された日から補助事業の終了日までに賃金を引き上げる必要があります。

 

賃金を引き上げずに実績報告を進めると補助金は交付されません。

 

低感染リスク型の賃金引き上げ枠とは違う

 

小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型の賃金引き上げ枠とは違う制度になりますので注意が必要です。

 

低感染リスク型は2022年3月9日第6回締切分の申請受付をもって終了しています。

 

 

まとめ

 

小規模事業者持続化補助金は、約3ヶ月に1回のペースで申請が締め切られ、2ヶ月から3ヶ月ぐらいで採択発表されます。

 

過去16回の採択率は約60%で、過半数が採択されるため、事業者にとっては挑戦しやすい補助金です。

 

審査ポイントを抑え、採択されやすい経営計画書・補助事業計画書を作成しましょう。

 

小規模事業者持続化補助金の計画書策定サポート料金

 

小規模事業者持続化補助金の計画書策定サポート料金

 

申請に必要な経営計画と補助事業計画の策定をサポートする料金です。

 

着手金 6万円(税別)

成功報酬 交付決定金額の10%(税別)

 

 

小規模事業者持続化補助金の計画書添削サポート料金

 

お客様が策定した経営計画書と補助事業計画書を添削する料金です。

 

着手金 1万円(税別)

成功報酬 なし

 

問い合わせ先

 

佐々木中小企業診断士事務所は、事業計画書作成のプロである中小企業診断士が補助金申請サポートを行います。

 

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小規模事業者持続化補助金申請サポート

 

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士を取得し、佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発業・人材紹介業・EC通販業・小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金申請や事業計画書作成サポート。

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