最大補助額200万円の小規模事業者持続化補助金「創業枠」とは|申請条件や採択ポイントを解説

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

最大補助額200万円の小規模事業者持続化補助金「創業枠」とは|申請条件や採択ポイントを解説

※本記事は2024年5月9日に内容を修正しています。

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の販路開拓や生産性向上に資する取り組みを補助することを目的とした補助金制度です。

 

その中でも最大補補助額200万円の「創業枠」は、特定創業支援制度を適用することで活用できる補助金制度です。

 

この記事では小規模事業者持続化補助金の創業枠を活用したいと考えている事業者に向け、特定創業支援制度や申請方法を解説しているので、参考にしてください。

 

 

小規模事業者持続化補助金とは

 

小規模事業者持続化補助金の制度概要、対象者、申請方法について解説します。

 

小規模事業者持続化補助金の制度概要

 

小規模事業者持続化補助金とは、小規模の法人や個人事業主などに対して、販路拡大や生産性向上を支援するための補助金です。

 

事業者は自ら作成した経営計画に基づいて事業を実施し、持続的な経営に向けた取り組みに関わる経費の一部が補助されるという制度です。

 

経営計画を作成する過程で、事業の見直しや経営方針の改善も期待できます。

令和3年度補正予算から申請類型は通常枠と特別枠になりました。

 

特別枠には、賃金引き上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠の5種類があります。

 

※インボイス枠が第12回公募受付回から廃止され、インボイス特例の要件を満たすことで、通常枠及び特別枠との併用ができる制度が開始されました。

 

補助率は3分の2で、補助上限額は通常枠で50万円、特別枠で200万円、インボイス特例の要件を満たすと50万円が上乗せされます。

 

小規模事業者持続化補助金の対象者

 

持続化補助金の申請が可能な対象者は、以下の小規模事業者に該当する法人および個人です。業種によって条件が異なります。

 

・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数が5人以下

・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下

・製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下

 

常時使用する従業員には会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。

 

NPO法人の場合、適用される業種は「その他」となります。法人税法上の収益事業を行っていることと、認定特定非営利活動法人でないことも求められます。

 

対象となる事業や取り組み

 

持続化補助金は、販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援することを目的としています。

 

対象となる事例は次の通りです。

 

販路開拓の取り組み例

・販促用のチラシ作成、配布

・展示会や商談会への参加

・新商品開発

など

 

業務効率化の取り組み例

・店舗改装による従業員の作業導線確保

・会計システム導入による決算の効率化

・労務管理システム導入による人事・給与業務の効率化

など

 

対象となる経費

 

対象となる経費は次の通りです。

 

1.機械装置等費
補助事業に必要な機器の購入費など

 

2.広報費

新商品PRのための広告媒体に支払う経費など

 

3.ウェブサイト関連費

販路開拓を行うためのWebサイトの開発費用など

※単体での申請は不可、補助金額の4分の1が上限

 

4.展示会等出展費

新商品の展示会出展や商談にかかる費用など

 

5.旅費

販路開拓を行うための旅費など

 

6.新商品開発費

新商品の試作品開発等にかかる費用など

 

7.資料購入費

補助事業に必要な書籍等の購入費用など

 

8.借料

補助事業に必要な設備のリース料など

 

9.設備処分費

販路開拓を行うための作業スペース確保に伴う設備処分費用など

 

10.委託・外注費

補助事業遂行に必要な外部委託費用など

 

申請スケジュール

 

現在決まっている応募の締め切り日と採択発表日は以下のとおりです。

 

現在決まっている応募の締め切り日と採択発表日は以下のとおりです。

 

・第13回

応募締切:2023年9月7日(受付終了)

事業支援計画書交付の受付締切:2023年8月31日(受付終了)

採択発表日:2023年11月27日

 

・第14回

応募締切:2023年12月12日(受付終了)

事業支援計画書交付の受付締切:2023年12月5日

採択発表日:2024年3月4日

 

・第15回

応募締切:2024年3月14日(受付終了)

事業支援計画書交付の受付締切:2024年3月7日

採択発表日:2024年5月〜6月頃

 

・第16回

応募締切:2024年5月27日(受付終了)

事業支援計画書交付の受付締切:2024年5月20日

採択発表日:2024年7月〜8月頃

申請方法

 

申請方法は、商工会議所の窓口に経営計画書と補助事業計画書を提出し、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼します。

 

提出はWEBからでも受付可能です。

 

その後、商工会議所との面談等を経て事業支援計画書(様式4)を発行してもらい、その他必要書類を揃えて電子申請もしくは郵送で提出します。

 

申請から約2ヶ月〜3ヶ月後に採択結果が発表され、採択されたら経営計画に従い補助事業を実施し、完了したら実績報告書を提出します。

 

補助事業に問題がないことを確認された後に補助金が支給されます。

 

 

特定創業支援制度とは

 

条件が該当すれば200万円の補助上限額となる創業枠。その条件にある特定創業支援制度について解説します。

 

特定創業支援制度とは

 

特定創業支援制度とは、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を無料で受けることができる制度です。

 

特定創業支援等事業とは

 

特定創業支援等事業とは、「産業競争力強化法」に基づき、創業希望者、創業して間もない人を支援するための国・自治体によるサポート事業です。

 

地域の創業促進により、日本の産業競争力を高めることを目的としています。

 

国の認定を受けた自治体が商工会議所や民間事業者などと協力して実施しています。

 

市区町村が創業支援等事業者と連携して策定する「創業支援等事業計画」は、令和4年12月時点で1,301件(1,459市区町村)が認定されています。

 

対象者

 

認定特定創業支援等事業を受けることができる対象者は、これから新規で創業する人、または創業から5年未満の人です。

 

メリット

 

特定創業支援等事業の支援を受けることで得られるメリットは、小規模事業者持続化補助金の創業枠を活用できる他、以下のようなメリットがあります。

 

・登録免許税が半額になる

・信用保証協会の枠が増える

・日本政策金融公庫の新創業融資が受けやすくなる

・日本政策金融公庫の新規開業資金融資の利率が低くなる

・創業関連保証が前倒し(通常2ヶ月前が6ヶ月前)で利用できる

・自治体の中小企業融資制度で優遇される

・令和3年度補正予算の小規模事業者持続化補助金創業枠で利用できる

 

創業枠を申請する際の注意点

 

申請条件を満たしていれば積極的に活用したい小規模事業者補助金創業枠。申請する上での注意点を解説します。

 

採択審査がある

 

小規模事業者持続化補助金は申請したら必ずしも採択されるとは限りません。

 

申請には事業計画書の作成が必要です。

 

審査の結果、不採択になる可能性もあります。

 

過去の採択率はおおよそ60%前後です。

 

よって、事業計画書は有識者の審査員が読んで説得力のある計画を立案する必要があります。

 

不採択の場合に備えて、補助金をアテにしない資金繰り計画も必要です。

 

補助金は後払いが原則

 

採択前の経費は補助対象となりません。

 

採択されて交付決定通知を受理したら補助対象経費を使うことができます。

 

そして、事業計画に沿って補助対象経費を使い、全ての納品が完了した段階で補助金を請求できます。

 

補助対象経費を使ってから補助金が入金されるまで6ヶ月以上かかることもありますので、資金繰りに注意が必要です。

 

特定創業支援制度を活用できる時期が限られている

 

認定連携創業支援等事業者である自治体によって、特定創業支援の内容や時期が異なります。管轄の自治体に確認することが必要です。

 

都道府県の創業支援系の助成金や補助金との併用ができない可能性がある

 

創業支援を目的とした都道府県の助成金・補助金との併用ができない可能性があります。

 

例えば、東京都創業助成金は小規模事業者持続化補助金の創業枠との併用が不可能です。

 

違う補助対象経費であっても、そもそも創業支援を目的としている同一の性質のものなので併用ができないことになっています。

 

都道府県の創業支援系の助成金や補助金も活用しようと考えている場合は、必ず管轄の都道府県に確認しましょう。

 

まとめ

 

小規模事業者持続化補助金の創業枠とは、創業間もない小規模事業者が「特定創業支援等事業」の支援を受けることで申請できる補助金制度です。

 

インボイス特例と併用することで上限額250万円と補助額が大きい一方で、補助金は後払いが原則なので資金繰りに注意して申請の判断をしましょう。

 

 

 

佐々木中小企業診断士事務所は、事業計画書作成のプロである中小企業診断士が補助金申請サポートを行います。

 

従業員0名から10名程度のサービス業の販路開拓や売上向上(持続化補助金)や、新規事業立ち上げ(事業再構築補助金)に強いことが特徴です。

 

後追いのない明朗会計で、スポットの経営相談も可能です。お気軽にお問い合わせください。

 

 

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佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士の受験に挑戦。2021年1月に合格し、2021年5月に佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発会社や人材紹介会社、小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金サポート。

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