小規模事業者持続化補助金のインボイス枠をわかりやすく解説
目次
小規模事業者持続化補助金は、インボイス制度の導入時に活用できる補助金の制度です。
補助金を利用すると、税負担の減少や取引先の増加などを期待できますが、企業によっては税負担の増加を考慮する必要があります。
この記事では、インボイス制度の概要や小規模事業者持続化補助金の申請方法を解説します。
インボイス制度の導入を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
インボイス制度とは
インボイス制度とは、消費税に関する新たな制度です。
別名「適格請求書保存方式」と呼び、「インボイス(=適格請求書)」を使い、適正な消費税の仕入税額控除を受けるために実施します。
インボイス制度は、売り手側(受注する側)と買い手側(発注する側)に適用されます。
税制度の8%の軽減税率と10%の税率が混在するわかりにくさや、消費税が売上の一部とされている「益税」を解消するために制定されました。
インボイス制度は2023年10月1日から導入されており、企業や個人事業主、フリーランスの人は制度への対応が必要になります。
仕入税額控除とは
仕入税額控除とは、商品やサービスの売買時に発生した課税売上の消費税額から、課税仕入れの消費税額を差し引く控除です。
消費税の払いすぎを防ぐために行われます。
たとえば、販売価格が5,500円(商品代金5,000円+消費税500円)、商品の仕入れに必要な代金3,300円(仕入れ代金3,000円+消費税300円)の商品があります。
販売と仕入れの合計で800円の消費税を負担していますが、仕入税額控除によって、課税売上の消費税額500円から仕入れの消費税額300円の控除が可能です。
実際に消費税として申告する金額は、残りの200円です。
適格請求書とは
適格請求書とは、「区分記載請求書」に以下の項目を追加した請求書です。
・インボイス制度の登録番号
・適用税率
・税率ごとに区分した消費税等の額
区分記載請求書とは、消費税率10%と8%の複数税率の区分経理に対応した帳簿であり、2023年9月30日まで適用されます。
適格請求書を発行するためには、「適格請求書発行事業者」としての登録が必須です。
原則として、適格請求書発行事業者の登録は、消費税の課税事業者のみ登録が可能です。
課税事業者については、次の章で後述します。
課税事業者と免税事業者の違い
課税事業者と免税事業者は、納税の義務と免除に違いがあります。以下で、解説します。
課税事業者
課税事業者とは、消費税を納税する義務がある事業者です。
商品やサービスの価格に消費税を上乗せして販売し、消費税分を国に納付しなければなりません。
消費税だけでなく、交通費や接待費などの消費税を含めて納付します。
課税事業者は、登録申請書を税務署に提出する必要があります。
課税事業者に該当する条件は、以下の2つです。
1.前々事業年度における課税売上高が1,000万円以上
2.前年の1月1日~6月30日の課税売上高が1,000万円以上、かつ給与支払額が1,000万円以上
免税事業者
免税事業者とは、消費税の納付を免除されている事業者です。
免除された消費税分は、会社や個人の収益になります。
インボイス制度が導入された背景には、免税事業者が消費税を納めない「益税」の問題があります。
免税事業者になるための手続きは不要です。
年間1000万円以上の売上がないフリーランスや個人事業主は、免税事業者として扱われます。
小規模事業者持続化補助金とは
以下で、小規模事業者持続化補助金の概要と制度の対象者、申請の方法について解説します。
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠とは
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠とは、小規模事業者が制度変更に対応できるように、販路開拓や業務効率化の取組を支援する制度です。
別名「持続化補助金」と呼ばれており、令和3年度補正予算からインボイス枠が設立されました。
申請類型は通常枠と特別枠があり、インボイス枠は特別枠に該当します。
補助率は3分の2で、補助上限額は100万円です。
※参考:R1補正・R3補正小規模事業者持続化補助金〈一般型〉ガイドブック
※参考:持続化補助金令和3年度補正予算の概要
補助金制度の対象者
小規模事業者持続化補助金の対象者の条件は、以下の通りです。
・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員数5人以下
・宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数20人以下
小規模事業者持続化補助金を利用する場合、従業員数に注意して申請を行いましょう。
補助金の対象外の業種は、「補正小規模事業者持続化補助金〈一般型〉ガイドブック」の公募要領「2.補助対象者」を確認してください。
※参考:R1補正・R3補正小規模事業者持続化補助金〈一般型〉公募要領.pdf
※参考:R1補正・R3補正小規模事業者持続化補助金〈一般型〉ガイドブック
小規模事業者持続化補助金の申請方法
小規模事業者持続化補助金に申請する際は、商工会議所の窓口に経営計画書と補助事業計画書を提出し、事業支援計画書の交付を依頼します。
事業支援計画書を受け取った後、補助金事務局へ必要書類の提出が必要です。
申請が通った後は補助事業を実施し、日本商工会議所に実績報告書を提出します。
補助事業に問題ないことが判断された後に、補助金が支給されます。
インボイス制度を導入するメリット
インボイス制度を導入するメリットは、請求書の作成のコストや手間を削減できたり、企業との取引を継続できたりします。
請求書の管理の手間やコストを抑えられる
インボイス制度を導入すると、電子インボイスでの送付・保管が可能になります。
データによる保管や取り扱いができるため、郵送や印刷の手間がなくなり、紙の管理も不要です。
紙にかかるコストの削減にもつながります。
請求書の様式が統一されるため、請求書発送にかかる手間がなくなり、業務の効率化が期待できます。
インボイス制度を導入した企業と取引を継続できる
インボイス制度を導入した企業同士は、適格請求書発行事業者になることで、取引先の業者が仕入税額控除を受けられます。
仕入税額控除が受けられない企業との取引が中止になる場合があるため、注意が必要です。
インボイス制度を利用すると、買い手側の納税負担を減らせるので、新規の取引先を獲得できる可能性があります。
インボイス制度を導入する際の注意点
インボイス制度を導入する際は、業務負担の増加や消費税の控除額の減少に注意しましょう。以下で、解説します。
経理業務の負担が大きくなる
インボイス制度の導入によって、請求書の記載事項の追加や変更などの手間が増えます。
請求書や帳簿などは、所定の記載要件を満たしたフォーマットが必要です。
インボイスを発行していない免税事業者から仕入れをする際、請求書を分けた経理処理になるため、経理部門の負担の増加は避けられません。
消費税の控除額が減少する
インボイス制度は、取引先が適格請求書発行事業者でない場合に仕入税額控除がなくなり、消費税の控除額が減少します。
未加入の企業は取引数が減ったり、消費税分を値引きするよう提案されたりする可能性があるため、注意が必要です。
インボイス制度は免除される消費税の額を考慮して導入を検討しましょう。
インボイス制度に対応するには
インボイス制度に対応するには、システムの変更や中小企業診断士に相談することが重要です。以下で、解説します。
各種システムやレジなどをインボイス用に対応させる
インボイス制度を導入すると、会計ソフトの請求書のフォーマットや消費税の申告方法などが変更になります。
経理の業務をインボイス制度に対応させるために、新しいソフトの導入の検討をしましょう。
小売業や飲食店業などは、専用のレシートや領収書が必要になります。
インボイス制度に対応したレジを用意して、新制度に対応した運営を行うことが重要です。
令和3年度補正予算措置で予定されている「IT導入補助金」を活用すると、機器を導入する時の負担を抑えられます。
※参考:IT導入補助金について | IT導入補助金
中小企業診断士に相談する
佐々木中小企業診断士事務所は、小規模事業者持続化補助金の公募申請から補助金が実際に入金されるまでを徹底サポートします。
インボイス枠を利用する際の不安や手続きの手間を解消できます。
事業者と2人3脚で事業計画書を作成し、Web会議で商談から打ち合わせまで対応が可能です。
小規模事業者持続化補助金を利用する際は、自社の申請要件や採択される可能性を知るために、無料カウンセリングから利用することをおすすめします。
まとめ
小規模事業者持続化補助金のインボイス枠は、メリットとデメリットを把握したうえで利用することが重要です。
自社の経理や運用方法が変更になる可能性があるため、控除額や経理の負担、取引先との関係などを考慮して、インボイス制度に対応した経営を行いましょう。
佐々木中小企業診断士事務所は、事業計画書作成のプロである中小企業診断士が補助金申請をサポートします。
弊社は従業員0名から10名のサービス業の持続化補助金に強みを持ち、スポットの経営相談から、後追いのない明朗会計のサービスの利用が可能です。
持続化補助金のインボイス枠を利用する際は、お気軽にお問い合わせください。
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