中小企業診断士は何ができる人で何をやってくれる人なのか|中小企業診断士に依頼できることを経営者目線で解説
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以前、知り合いの経営者から、「”中小企業診断士”って検索してみたら、予備校とか診断士協会とか試験対策サイトしか引っかからなくて、結局何をやってもらえる人なの?」と聞かれたことがあります。
そこで私も”中小企業診断士”と検索してみたら、上位30サイトが「予備校」「診断士協会」「試験対策サイト」でした。
ということはつまり、「中小企業診断士」というキーワードに興味関心を持っているのが、中小企業診断士の受験生や受験を検討している人が大半なのではないかと考えました。
逆に、中小企業の経営者からしてみると、中小企業診断士という存在を知っていたとしても、具体的に何ができて、何をやってくれる人なのかがわからないのではないでしょうか。
今回の記事では、中小企業診断士のもつ能力、依頼できる仕事について解説します。
中小企業診断士のもつ能力
中小企業診断士の試験科目
中小企業診断士は経済産業省管轄の国家資格です。中小企業経営に必要とされる知識を体系的に身につけていることを国が証明した国家資格です。
受験勉強を通じて、企業経営を取り巻く「ヒト・モノ・カネ・情報」に関する専門的知識を包括的に学びます。
実際に企業に対しての経営コンサルティングに従事して資格が付与されます。
主に以下の分野が試験科目です。
1次試験
財務・会計
主な試験内容:簿記2〜3級程度の会計知識、財務諸表の分析
企業経営理論
主な試験内容:経営戦略論、マーケティング論、組織論
運営管理
主な試験内容:生産管理、店舗管理
経済学・経済政策
主な試験内容:ミクロ経済学、マクロ経済学
経営法務
主な試験内容:会社法、知的財産、民法
経営情報システム
主な試験内容:基本情報技術者〜応用情報技術者試験程度の知識
中小企業経営・政策
主な試験内容:中小企業を取り巻く経営環境の統計読解や国の中小企業向け施策など
2次試験
筆記による経営コンサルティング
事例企業をもとに、現状分析や経営上の問題点から経営課題の抽出と解決策を導き出す。
全部で4企業の事例で、以下の4テーマ別に解答していく。
・組織人事(経営戦略から組織人事戦略)
・マーケティング(経営環境分析からマーケティング戦略)
・生産管理(経営環境分析からQCDの観点で生産改善戦略)
・財務会計(経営環境と財務諸表をもとに財務分析、投資意思決定のための分析など)
研修
研修によるコンサルティング
実在企業に訪問し、現状の経営環境分析や経営上の問題点から経営課題の抽出と解決策を導き出すことを中心に、経営診断書を作成する。
他の国家資格との比較
ここで、分かりやすく他の国家資格と比較してみます(ポピュラーで聞き馴染みのあるもののみ)。
「財務・会計」は税理士・会計士の領域です。
「運営管理」はBASIC・販売士、「経営法務」は弁護士・弁理士・司法書士・行政書士、「経営情報システム」はITストラテジスト、「中小企業経営・政策」は行政書士の領域です。
中小企業診断士が学ぶ7分野のうち、4分野で専門性の高い国家資格が存在しています。
それにも関わらず、幅広く各分野を学び、かつ経営学の基礎である企業経営理論をしっかりと学んでいるのが中小企業診断士です。
つまり、中小企業経営に特化したゼネラリスト志向の国家資格であると言えます。
実際に中小企業の経営をしていると、悩みの範囲は実に広いと思います。
人手が足りない、人が育たない、お客様の集客力が弱い、新規事業をやるべきか、製品サービスの品質をもっと向上させたい、知財侵害、現金が足りない、、、など。
税理士に相談できるのはお金や税金のこと、弁護士に相談できるのは法律のこと、マーケティングはまた別の人、、、というように相談先がバラバラではないでしょうか。
各方面に相談している内容や進捗条項を把握するのもひと苦労、なんていう経営者もいるはずです。
一方、中小企業診断士はワンストップで相談が可能になるのが最大の特徴です。
各分野の専門家には専門性の深さでは力が及ばないものの、あらゆる分野の相談を1次対応できるのは中小企業診断士のみです。
よって、社長の右腕というだけでなく、社長の左脳的な存在であると言えます。
なお、中小企業診断士試験の合格率は5%で狭き門です。毎年1,000名ほどが合格しています。全国に中小企業診断士の人数は3万人弱です。
狭き門だからこそ、中小企業診断士を取得している時点で、高度で広い中小企業経営に必要な知識を保有していると考えて良いでしょう。
中小企業診断士に依頼できること
経営相談
スポットか継続かはさておき、経営相談は中小企業診断士の基本業務です。
中小企業経営者の悩みをヒアリング、身につけた経営理論をもとに状況を分析し、課題や解決策を正確に導き出す。その答えにはしっかりと根拠があるので、説得力が高い。
それが中小企業診断士に経営相談したときの特徴です。
経営相談は、スポット・継続の顧問契約があり、有料対応の中小企業診断士や、公的機関の窓口にいる無料対応の中小企業診断士がいます。
事業計画策定
ペーパー上の試験を合格しているというだけあって、事業計画書の策定も中小企業診断士の得意分野です。
ただ思いつきで作るのではなく、ここでも身につけた経営理論をもとに策定・作成されるので、根拠がしっかりとした事業計画書に仕上がります。
補助金申請サポート
日本には約3,000の補助金があると言われています。中には必要事項を記載するだけで済むものもあれば、事業計画書の提出が必要なものもあります。
かつそんな事業計画書の提出を伴う補助金は、補助金額が大きい一方で、有識者の審査を通過する必要があります。
よって、中小企業経営に精通した中小企業診断士と作成する事業計画書は高品質であると言えるでしょう。
セミナー・研修講師
広く中小企業経営に必要な知識を身につけていることで、様々な部門の管理者や従業員向けの研修を実施することができます。
ただし、大人数の前で話すスキルが必要になり、それは中小企業診断士試験で身に付くものではないため、対応できる中小企業診断士は限られてきます。
その他
中小企業診断士には様々なバックグラウンドの人がいます。
30代・40代の働き盛りで取得した人も入れば、大学在学中や定年退職後に取得している人もいます。
中小企業診断士のバックグラウンドは多種多様なので、別の経験と掛け合わせてワンストップで経営相談が可能です。
例えば、WEBマーケティングの経験を活かしながら集客戦略を主とした経営支援、人事経験を活かしながら組織構築を主とした経営支援、経理経験を活かしながら資金調達戦略を主とした経営支援、などです。
専門分野をもつ高付加価値の中小企業診断士と言えるでしょう。
中小企業診断士ができないこと
高度で広い中小企業経営に必要な知識を保有していることが中小企業診断士の強みである一方で、独占業務を業とする専門家、確定申告や決算を請け負う税理士や、個別具体的な法律相談に対応する弁護士、特許や商標などの知財を調査・申請する弁理士、公的書類の作成・申請代行する行政書士などの業務は中小企業診断士では請け負えません。
また、各中小企業診断士のバックグラウンドで苦手な分野は相談したとて、経営者のほうが詳しかったということもあり得ます。相談前に各中小企業診断士の得意・不得意分野をしっかりと確認した上で相談をするようにしましょう。
中小企業診断士を探してみる
では中小企業診断士はどこで見つかるのでしょうか?
現状は「中小企業診断士」と検索してもなかなかお目当ての中小企業診断士は見つかりません。
そんな時は、「(解決したい経営上の悩みの)キーワード+中小企業診断士」で検索してみましょう。
もしくは、各都道府県には中小企業診断士協会があり、電話して要望を伝えるとマッチする中小企業診断士を紹介してもらえます。
中小企業診断士は3万人弱と説明しましたが、コンビニのファミリーマートとローソンを足し合わせた数ぐらいになるので、意外と身近にいるはずです。
ぜひ貴社の経営にうまく活用してみてください。
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