「どこで売るか」で売上は変わる|流通チャネル・チャネル戦略の基本をわかりやすく解説

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

「どこで売るか」で売上は変わる|流通チャネル・チャネル戦略の基本をわかりやすく解説

良い商品を作って、適切な価格をつけても、「どこで売るか」を間違えると売れません。


お客さんが買いたいと思ったときに、買える場所にある——これが流通チャネル戦略の本質です。


本記事では、流通チャネルの基本的な仕組みから、どの販路を選ぶかという設計の考え方、さらにフランチャイズなどでよく耳にする垂直的マーケティングシステム(VMS)まで、中小企業経営者が押さえておきたいポイントを整理します。



流通チャネルとは何か


商品がメーカーの手を離れて消費者に届くまでには、さまざまな経路があります。


この経路全体を流通チャネルと呼びます。


メーカー・卸売業者・小売業者・物流業者などが組み合わさって、ひとつの流れを作っています。


代表的なルートは次の3パターンです。

種類 流れ 特徴
チャネルA 生産者 → 卸売業者 → 小売業者 → 消費者 最も一般的な流れ
チャネルB 生産者 → 小売業者 → 消費者 卸を通さない直接取引
チャネルC 生産者 → 消費者 直販・EC・訪問販売など

どのルートを選ぶかによって、コスト・スピード・顧客との距離感が大きく変わります。


卸売業と小売業の役割


卸売業者は、メーカーと小売業者の間に入って取引を仲介します。


「なぜわざわざ中間に入れるのか?」と思う方もいるかもしれませんが、卸売業者が入ることで全体の取引数が大幅に減り、流通が効率化されます。


これを取引数量最小化の原理と呼びます。


小売業者は、最終的に消費者に商品を届ける役割を担います。


スーパー・専門店・コンビニ・メーカー直営店など、業態は多岐にわたります。


小売業者は単に商品を売るだけでなく、消費者の手元に届くまでの「場所」と「タイミング」のギャップを埋める機能を持っています。



流通チャネルの3つの機能


流通チャネルでは、大きく3つの流れが動いています。

機能 内容
物流 商品を保管・輸送し、作り手から買い手へ物理的に届ける
情報流 受発注情報・販売実績・商品説明など、情報を伝達する
商流 所有権の移転=取引そのものの流れ

特に近年は、情報流の重要性が増しています。


POSデータや在庫情報をリアルタイムで共有することで、無駄な在庫を減らしたり、販売機会のロスを防いだりすることが可能になっています。



どの販路を選ぶか:チャネル設計の3つの方針


「自社の商品をどこで売るか」を決めるのがチャネル設計です。


販路を広げれば売れやすくなる一方、ブランドイメージが薄れたり、管理コストが増えたりするトレードオフがあります。


その兼ね合いによって、3つの方針に分かれます。

方針 内容 向いている商品
開放的チャネル 取引を希望する業者すべてに販売。とにかく広く流通させる 最寄品(買いやすさが重要) 食品、日用雑貨
選択的チャネル 条件を満たした業者だけに絞る。ブランドと効率のバランスを取る アフターサービスが必要な商品 家電、薬品
排他的チャネル 地域ごとに1社のみなど、極限まで絞る。ブランド管理を最優先 専門品(ブランドイメージが命) 高級自動車、高級ブランド品
【選び方の目安】
「とにかく買いやすい場所に置きたい」→ 開放的
「品質やサービスを保ちながら広げたい」→ 選択的
「ブランドの希少性・高級感を守りたい」→ 排他的


垂直的マーケティングシステム(VMS)とは


メーカーから小売まで、流通の各段階をバラバラに動かすのではなく、ひとつの統合されたシステムとして管理する仕組みを垂直的マーケティングシステム(VMS)と呼びます。


フランチャイズや系列店などがその代表例です。


VMSには結びつきの強さによって3つのタイプがあります。


企業型VMS:資本で統合する


製造から販売まで、1つの企業グループが資本関係で統合するタイプです。


メーカーが直営店を持つケースや、大手小売業者が自社ブランド(PB)の製造部門を持つケースがこれにあたります。


コントロールが最も強い反面、投資規模も大きくなります。


契約型VMS:契約で結びつく


資本関係はなく、契約をベースに製造・卸・小売が連携するタイプです。


身近な例として以下の3つがあります。

種類 内容 典型例
卸売業者主宰
ボランタリーチェーン
卸売業者が独立した小売業者を束ねてチェーン化。集中仕入によるコスト削減が目的 地域の中小小売店の連合
コーペラティブチェーン 小売業者同士が集まって共同仕入れを行い、大手に対抗する仕組み 生協(コープ)
フランチャイズチェーン 本部(フランチャイザー)がノウハウや商標を提供し、加盟店(フランチャイジー)がロイヤリティを支払う コンビニ、ファストフード

管理型VMS:力関係で統制する


資本も契約もないまま、チャネルの中で最も影響力の強い企業(チャネルリーダー)が全体をまとめるタイプです。


強力なブランドを持つメーカーが価格や陳列を事実上コントロールするようなケースがこれにあたります。


結びつきは最も緩やかです。

【VMSの結びつきの強さ】
強い ← 企業型 > 契約型 > 管理型 → 弱い


まとめ


チャネル戦略は、4Pの中で最も地味に見えて、実は売上に直結する重要な意思決定です。


「誰に」「何を」「いくらで」売るかを決めても、「どこで売るか」を誤ると商品はお客さんに届きません。


自社の商品がどんな場所で買われるべきかを考えるとき、開放・選択・排他の3つの方針と、流通の各段階をどう統合するかという視点を持つことで、より戦略的なチャネル設計ができるようになります。

 

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士を取得し、佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発業・人材紹介業・EC通販業・小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金申請や事業計画書作成サポート。

  • 小規模事業者持続化補助金の入金までの流れとは|対象となる経費や上限金額も解説
  • 2025年度の個人事業主向け小規模事業者持続化補助金について知る|条件や補助金額、必要書類をわかりやすく解説
  • 小規模事業者持続化補助金の申請から補助金着金までの手続きの流れとは|図解も用いてわかりやすく解説
雑記帳一覧へ

ご依頼や、ご不明点、
気になることなどございましたら、
お気軽にお問合せください。