誰でも分かる!マーケティング・プロセス6ステップの指南書

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

誰でも分かる!マーケティング・プロセス6ステップの指南書

マーケティングプロセスの基礎を理解しよう

 

マーケティングプロセスとは?

 

マーケティングプロセスとは、商品やサービスを効果的に市場に展開するための一連の活動を体系的に進める手法のことを指します。このプロセスは、企業が市場を理解し、効果的なマーケティング戦略を立案し実行するための柱となります。具体的には、初期の市場調査から始まり、ターゲットの選定や戦略設計、実行、そして評価や改善に至るまで、6つのステップで構成されています。

 

マーケティングプロセスの重要性

 

現代のビジネス環境では、正確で効果的なマーケティングプロセスが成否を分ける重要な要因となっています。適切なプロセスを踏むことで、競争の激しい市場で自社の商品やサービスの強みを明確にし、効率的に差別化することができるからです。また、マーケティングプロセスを通じて得られるデータや分析結果は、より具体的な戦略を立案し、長期的な成功へとつなげる可能性を高めます。そのため、マーケティングプロセスは企業活動の中で欠かせないフレームワークといえるでしょう。

 

6ステップの概要

 

マーケティングプロセスは、次の6ステップから構成されています。まずは市場調査と分析(Research)を行い、次にセグメンテーション、ターゲット選定、ポジショニングの「STP戦略」を立案します。その後、マーケティングミックス(Marketing Mix)の設計を行い、実際の施策を実行(Implementation)します。そして最後に、実施したマーケティング活動の評価と改善(Control and Optimization)を行います。これらのプロセスは一見複雑に思えるかもしれませんが、それぞれのステップがつながりを持つことで、効果的なマーケティング戦略を構築する基盤になります。

 

マーケティングプロセスの6ステップを詳しく解説

 

ステップ1:市場調査と分析(Research)

 

マーケティングプロセスの第一歩は「市場調査と分析」です。この段階では、製品やサービスを展開する市場環境を正確に把握することが求められます。具体的には、顧客ニーズや市場トレンド、競争環境について調査を行います。PEST分析や3C分析、SWOT分析などのフレームワークを活用することで、変化する市場環境や競争要因を体系的に理解することができます。この段階で得られたデータは、マーケティング戦略の土台となるため、慎重かつ詳細な分析が必要です。

 

ステップ2:ターゲット設定とSTP(Segmenting, Targeting, Positioning)

 

次に行うのは、ターゲット市場を明確にする「STP戦略」です。まず、市場をセグメント(Segmenting)して顧客の特徴や購買行動に基づくグループ分けを行います。その後、最も適切な顧客層をターゲット(Targeting)として選択します。最後に、このターゲットがどのように認識されるべきかという市場における立ち位置を定めるポジショニング(Positioning)を明確にします。このプロセスが成功すれば、顧客の心に響く製品・サービスの独自性を伝えられるマーケティング戦略を構築することができます。

 

ステップ3:マーケティングミックスの設計(Marketing Mix)

 

「マーケティングミックス」とは、マーケティング活動を実際に計画するための枠組みであり、主に4P(製品、価格、流通、プロモーション)を基に設計されます。このステップでは、製品(Product)の特徴や価値を定義し、価格(Price)における市場競争力を考慮します。また、流通(Place)のルートや方法を計画し、プロモーション(Promotion)戦略を検討します。さらに、顧客視点を重視した4C(Customer solution、Customer cost、Convenience、Communication)を取り入れることも有効です。これらをバランスよく設計し、顧客に価値を提供します。

 

ステップ4:戦略の実行(Implementation)

 

次に重要なのが「戦略の実行」です。ここまでに設計したマーケティング戦略を現場で具体的に展開します。例えば、広告キャンペーンを開始したり、販売チャネルを整備したり、顧客への直接的なアプローチを行ったりします。この段階では、チーム間の連携が重要となります。マーケティング戦略が確実に実行されるよう、関係者が一丸となり実務を進めていくことが成功につながります。

 

ステップ5&6:評価と改善(Control and Optimization)

 

最後のステップは「評価」と「改善」です。策定したマーケティング戦略が期待通りの成果を生んでいるかを、定量的および定性的な指標を用いて評価します。このとき、KPI(重要業績評価指標)やROI(投資利益率)を活用すると効果的です。その結果に基づき、戦略や施策を再調整し、プロセス全体の最適化を図ります。この継続的な改善サイクルを回すことで、長期的に成功するマーケティング活動を構築できるのです。

 

マーケティングプロセスを成功させるためのポイント

 

データを活用した意思決定

 

マーケティングプロセスにおいて、データを活用した意思決定は非常に重要です。現代のマーケティング戦略では、顧客の行動データや市場動向、競合他社のパフォーマンスなど、正確な情報をもとにした判断が求められます。これにより、目的や目標に合致した効果的なマーケティング施策を立案することが可能になります。特に、3C分析やPEST分析、SWOT分析のようなフレームワークを活用することで、データを整理し、最適な戦略を導き出すことができます。

 

顧客視点での視野拡大の重要性

 

マーケティングプロセスにおいて、顧客視点での視野を広げることは、競争優位性を構築するうえで欠かせません。顧客のニーズや課題を深く理解し、それに応える製品やサービスを開発することが、成功するマーケティング戦略の基盤となります。顧客視点を取り入れるには、定性調査やアンケート、SNSでの声拾いなどの手法を活用し、ターゲット層が真に求めるものを把握することが肝要です。その結果、より的確なターゲティングやポジショニングが可能になり、市場での存在感を高めることができます。

 

チーム間の連携を強化する方法

 

マーケティング・プロセスをスムーズに進行させるためには、チーム間の連携が不可欠です。特に、マーケティング部門と営業部門、商品開発部門が密接に連携することで、顧客へ一貫性のある価値を提供できるようになります。コミュニケーションの強化には、定期的な会議や進捗報告の場を設けることが効果的です。また、プロジェクト管理ツールを活用することで、タスクの進捗状況を可視化し、チーム全体が同じゴールに向かうための明確な指針を共有することができます。

 

効果的なフレームワークの活用

 

マーケティング戦略を確実に実行し成功に導くためには、効果的なフレームワークの活用が欠かせません。たとえば、STP戦略(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)は顧客層を把握し、適切なメッセージを提供するうえで有力な手法です。また、4Pや4Cといったマーケティングミックスのフレームワークは、商品やサービスを最適な形で市場に提供するための土台を築きます。これらを適切に選択し運用することで、マーケティングプロセス全体を効率化し、その効果を最大化することが可能となります。

 

初心者が陥りがちな落とし穴とその回避策

 

戦略立案の段階でのよくあるミス

 

マーケティング戦略を立案する際、初心者が陥りがちなミスとして、目標が不明確なままスタートするケースがあります。マーケティング・プロセスにおいては、まず明確なゴールを設定することが求められますが、この段階で方向性が曖昧では効果的な戦略を組むことができません。事前に市場分析や競合調査を行い、自社の立ち位置を正確に把握した上で、具体的なターゲット像を描くことが重要です。また、フレームワークを活用してクリアな戦略を立案することも有効です。

 

データ不足による判断ミス

 

マーケティングプロセスの基盤となる市場調査ですが、データ不足が原因で誤った結論を導き出すことも多いです。このようなミスを防ぐためには、信頼できる情報源を活用し、データを収集・分析するプロセスを徹底する必要があります。3C分析やPEST分析、またはSWOT分析を組み合わせることで、自社や競合、外部環境についてのデータを網羅的に把握しましょう。また、収集したデータを継続的に更新していく仕組みも必要です。

 

実施前後の評価を見落とすことの危険性

 

マーケティング戦略を実行する上で、戦術の成功を左右するのは評価と改善のプロセスです。しかし、初心者にありがちなのが、実施前後の計画や成果を十分に評価せず、次のステップへ進んでしまうことです。マーケティング・プロセスの中では「実行(Implementation)」「評価(Control)」の段階が重要であり、結果を基に戦略を適宜最適化することで、マーケティング活動の効率を高めることが可能です。特にKPI(重要業績評価指標)の設定とその振り返りを習慣化しましょう。

 

継続的な改善を怠るリスク

 

マーケティング戦略は、一度成功したとしてもそれで終わりではありません。市場環境や顧客ニーズは常に変化しています。そのため、継続的にプロセスを改善し、進化させることが必要です。ただし、初心者は実施後に満足し、改善プロセスを省略してしまうことがあります。これを回避するには、マーケティング戦略におけるPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を積極的に取り入れ、常に状況をモニタリングする習慣をつけることが肝心です。

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士を取得し、佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発業・人材紹介業・EC通販業・小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金申請や事業計画書作成サポート。

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