マーケティング初心者必見!フィリップ・コトラーとAMAの定義を超簡単解説

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

マーケティング初心者必見!フィリップ・コトラーとAMAの定義を超簡単解説

マーケティングとはそもそも何か?基本定義の理解

 

マーケティングの歴史と誕生背景

 

マーケティングという言葉は、20世紀初頭に商業や経済の発展とともに登場しました。その起源は1902年、ミシガン大学の学報で初めてこの言葉が使われたことにさかのぼります。さらに、1905年にはペンシルベニア大学で「Marketing of Product」という講座が開設され、教育分野でも注目されるようになりました。加えて、1937年にはアメリカマーケティング協会(AMA)がシカゴに設立され、それ以来マーケティングの定義とその適用範囲の議論が進化してきました。このような歴史的背景から、マーケティングは単なる販売手法ではなく、戦略的で体系的な活動として現在のビジネスに浸透しています。

 

マーケティングの本質:顧客のニーズを満たす活動

 

マーケティングの本質は、顧客のニーズを的確に理解し、それを満たす商品やサービスを提供することにあります。この考え方は、フィリップ・コトラーが提唱した「顧客のニーズを満たす価値を創造し、提供し、利益を生み出すプロセス」という定義にも表れています。例えば、単なる製品を売るのではなく、顧客がどのような問題を抱えているのか、またその解決方法としてどのような価値を提供できるのかを探ることが重要です。このような顧客中心のアプローチがマーケティングの基盤となっているのです。

 

組織活動としてのマーケティングの役割

 

マーケティングは単なる広告やセールスの活動に留まらず、組織全体を支える重要な戦略活動として位置付けられます。たとえば、市場分析を通じて顧客ニーズを把握し、それに応じた製品企画や価格設定を行うこともマーケティングの役割の一部です。また、販売促進活動やブランド価値の構築を通じて、企業や組織の信頼性を高めることもマーケティングの目的とされています。これにより、マーケティングは利益追求だけでなく、顧客満足や社会への価値提供といった広い視点を持つ活動であることがわかります。

 

製造から価値提供へ:進化するマーケティング像

 

マーケティングは時代とともに進化してきました。初期の「製品主義」の時代には、製品を大量に生産し、それを効率よく販売することが目的とされていました。しかし、経済や技術の発展により、「顧客主義」に焦点を当てた時代が到来し、顧客のニーズや欲求に応える形に変化しました。さらに、近年では「価値主義」を基礎に、単なる商品やサービスの提供以上に、顧客や社会全体に対して持続可能な価値を創造することが求められています。このように、マーケティングは単なる製造から価値提供へとその役割を進化させているのです。

 

フィリップ・コトラーによるマーケティングの定義

 

フィリップ・コトラーとは?マーケティング界の巨人

 

フィリップ・コトラーは、「モダンマーケティングの父」として知られる世界的な経済学者であり、マーケティングの専門家です。その功績は、マーケティングを科学的な学問として確立し、経営戦略における重要な要素として体系化した点にあります。コトラーは、『マーケティング・マネジメント』をはじめとする多数の著書を執筆し、この分野を学ぶ人々にとって欠かせない存在となっています。彼の影響力は、アカデミックな分野だけでなく、実務においても広く及んでおり、企業経営や消費者行動、さらには社会課題の解決に至るまで幅広い応用がなされてきました。

 

コトラーのマーケティング定義とそのポイント

 

フィリップ・コトラーは、マーケティングを「顧客のニーズを満たす価値を創造し、提供し、利潤を上げるプロセス」と定義しています。この定義のポイントは、顧客のニーズを中心に据え、企業と顧客の双方に価値をもたらすことに重点を置いている点です。単に商品を売るだけではなく、顧客にとっての価値を最大化し、そこから得られる利潤を通じて企業の成長を図るという考え方が含まれています。この理念は、現在の多くのマーケティング活動において基礎となっており、特に顧客体験や個別化されたサービスが重要視される時代においても有効です。

 

時代とともに変わる「マーケティング4.0」までの進化

 

マーケティングは時代とともに進化してきました。コトラーはその変化を、「マーケティング1.0」から「マーケティング4.0」までの段階として説明しています。例えば、「マーケティング1.0」は製品中心の「プロダクト主義」に基づいていましたが、「マーケティング2.0」では顧客指向の「消費者主義」が台頭しました。「マーケティング3.0」では、価値や信念が重視される時代となり、企業が提供する商品やサービスが社会的な意義や持続可能性を持つことが求められました。そして、現在の「マーケティング4.0」では、デジタル技術を活用し、顧客との関係をさらに深化させ、オンラインとオフラインの融合による新しい価値提供が図られています。これらの進化は、顧客との接点を最大化し、より良い体験を提供することを目的としています。

 

コトラーが提唱する成功の鍵「CCDVTP」

 

フィリップ・コトラーは、マーケティング成功の鍵として「CCDVTP」というフレームワークを提唱しています。これは、Create(価値を創造する)、Communicate(価値を伝える)、Deliver(価値を提供する)、Target market(ターゲット市場を明確にする)、Positioning(市場にポジショニングする)の頭文字を取ったものです。このフレームワークは、単に商品やサービスを販売するだけではなく、顧客のニーズを深く理解し、それに応える価値をいかにして市場に提供できるかを体系的に考えるための指針となっています。特にターゲット市場を設定し、明確なポジショニングを行うことで、企業は競争優位性を確立し、効果的なマーケティング活動を実現できるのです。

 

アメリカマーケティング協会(AMA)の定義とその変遷

 

アメリカマーケティング協会(AMA)の起源と役割

 

アメリカマーケティング協会(AMA:American Marketing Association)は、1937年にシカゴで設立されました。この協会は、マーケティングに関する知識の共有や研究を進めるための専門機関としての役割を果たしています。特に、マーケティングの理論や実務を体系化し、業界標準を設定する重要な存在です。また、マーケティング定義の改訂や指針の提示を通じて、業界全体の方向性を形作るとともに、マーケティングの進化に貢献してきました。

 

AMAの2004年定義:価値創造とプロセス管理

 

2004年、AMAはマーケティングの定義を「顧客に対する価値の創造とプロセスの管理」という視点で改訂しました。この新しい定義では、製品やサービスの提供だけでなく、それを通じた顧客との関係構築や価値の共有がより重視されています。例えば、単に商品を売り込むのではなく、顧客が求める価値を満たすプロセス全体の設計や管理が重要視されるようになりました。この改訂は、従来の「売ること」に重点を置いたマーケティングから発展し、顧客中心の価値提供に方向性がシフトしたことを示しています。

 

2007年の新定義とマーケティングの社会的側面

 

AMAは2007年にマーケティングの定義を再度改訂し、「価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動及びプロセス」と定義しました。この定義は、マーケティングの社会的側面をより強調している点が特徴的です。顧客だけでなく、社会やコミュニティへの価値提供が考慮され、企業活動がどのように社会全体に良い影響を与えるかが重要視されるようになりました。この改訂は、環境問題や社会的責任が注目される現代において、マーケティングの役割が単なる利益追求ではなく、持続可能性や社会的価値の創出にシフトしていることを反映しています。

 

マーケティング定義から見るビジネスの方向性

 

AMAの定義の変遷からわかるのは、マーケティングが時代背景や社会のニーズに合わせて進化しているということです。2004年の「価値創造とプロセス管理」、そして2007年の「社会的側面」の重要性の追加は、市場環境が大きく変化する中で、企業が成長し続けるために必要な考え方の変化を示しています。特に、顧客中心主義だけでなく、社会全体の価値創造を目指すことが、現代のビジネス環境では不可欠です。このような変化を理解することで、マーケティング活動を通じて企業が持続可能な成長を達成できる土台が作られるのです。

 

コトラーとAMAの違いと共通点を理解する

 

コトラーとAMAの定義の比較:焦点の違い

 

フィリップ・コトラーとアメリカマーケティング協会(AMA)は、マーケティングの定義においてそれぞれ異なる視点を持っています。コトラーの定義は「顧客のニーズを満たす価値を創造し、提供し、利益を上げるプロセス」に焦点を当てており、主に顧客価値とビジネスの成功を結びつけることに重きを置いています。一方で、AMAの定義は「価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動及びプロセス」として、マーケティングを「社会的プロセス」として捉えることが特徴です。これにより、AMAは企業活動だけでなく社会や倫理、さらには持続可能性への関心も含めた広範な視野を持っています。両者の焦点の違いは、企業中心の視点と社会的文脈の双方からマーケティングを理解する手助けになります。

 

「CCDVTP」とAMAのプロセス管理の類似性

 

コトラーが提唱する「CCDVTP」は、マーケティングの基本プロセスを示すフレームワークで、「価値を創造し、コミュニケーションをとり、提供して(Create, Communicate, Deliver)、ターゲット市場でポジションを獲得する(Target, Position)」全体の流れを明確に示しています。一方で、AMAの定義も「価値創造とそのプロセスの管理」に強調点を置いており、マーケティングの活動を分解して捉える点で類似性が見られます。両者の主張は、マーケティングが単なる広告活動に留まらず、効果的な価値提供を多層的なプロセスで実現する点を強調していると言えるでしょう。このように、「CCDVTP」とAMAの定義が示すプロセス管理の視点は、実務におけるマーケティング活動を体系的に理解するうえで特に役立ちます。

 

両者が強調する価値創造の重要性

 

フィリップ・コトラーもAMAも共通して「価値創造」をマーケティングの核として位置づけています。コトラーは、顧客が求めるニーズを的確に把握し、それを満たす価値をいかに提供するかがビジネス成功の鍵であると述べています。一方で、AMAは価値創造を「提供物の交換プロセス」に関連付けており、個人や組織だけでなく、社会全体で享受される利益に繋がることを重視しています。この共通点は、マーケティングが単なる売上向上の手段ではなく、顧客や社会との信頼関係を構築する活動であることを示しており、初心者にも理解しやすい基本的な概念として位置づけられます。

 

初心者が学ぶべきキーポイントのまとめ

 

マーケティング初心者がフィリップ・コトラーとAMAの定義から学ぶべきポイントは以下の3点です。まず、「マーケティングは価値を創造し、それを顧客に届けるプロセス」であることを理解しましょう。次に、コトラーの「CCDVTP」は、価値提供のプロセスを体系的に捉えるうえで重要なフレームワークです。そして最後に、AMAが示すマーケティングの社会的側面も忘れてはなりません。マーケティング活動は単に売り手のためだけでなく、顧客や社会全体の利益に寄与するものなのです。これらを意識することで、マーケティングへの理解を深める第一歩となるでしょう。

佐々木智浩
- 千葉県出身、東京都在住
- 2021年5月「中小企業診断士」登録
- 2022年5月「経営革新等支援機関」認定

立教大学社会学部を卒業後、無形サービス業の営業を15年ほど経験し、2017年に人材紹介会社を創業。自社経営しながら中小企業診断士を取得し、佐々木中小企業診断事務所を開業。経営支援先の得意業種は遊技機開発業・人材紹介業・EC通販業・小規模サービス業。得意な支援業務は、販路開拓・採用・補助金申請や事業計画書作成サポート。

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